きれいな脚と水虫の踵
水虫の足裏
きれいな脚と花
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女性の脚

身体の中でも特に皮膚や爪に発症しやすい水虫の原因となっているのは、カビ(真菌)の一種である白癬菌です。菌類に属するカビから皮膚糸状菌へと枝分かれし、その中でヒトや動物の髪や爪・角質層などに寄生する菌類に白癬菌があります。患部がひび割れや皮膚のただれ(びらん)を起こす原因は、菌が寄生した皮膚の角質層の主成分であるケラチンというタンパク質を溶かして、皮膚のバリア層を破壊して内部に侵入しているからです。

皮膚のバリア層を破壊した白癬菌はケラチンを栄養源にして、菌糸を伸ばしつつ増殖しています。カビが大量発生する季節は梅雨ですが、この理由は菌類が高温多湿な環境を好むからであり白癬菌もこの例に漏れません。靴や靴下・ストッキングなど、湿度と温度が共に高まりやすい足先に水虫の症状が多いのはこのためです。ちなみに生きている細胞が存在しない角質層であるにも関わらずかゆみが発生するのは、免疫細胞の一種である樹状細胞が角質層にまで活動域を延ばした際に原因菌に触れることでかゆみなどの症状が生じるからと考えられています。

白癬すなわち水虫を起こす皮膚糸状菌には、土に寄生する土壌好性菌や動物に付着する動物性好性菌など40種類以上の菌種が存在しています。ヒトに水虫を発症させるのはこの中の約10種類であり、大部分を占めているのがヒトからヒトへと感染するヒト好性菌です。ヒト好性菌の中でも最も感染する確率が高いのが、トリコフィトン・ルブルムとトリコフィトン・メンタグロフィテスと呼ばれる菌種です。

2つの菌種の中でもトリコフィトン・ルブルムは特に水虫の原因となることが多く、足白癬において最も多く検出されます。足の裏の皮膚が分厚くなり、乾燥する角質増殖型を引き起こすことが多いです。トリコフィトン・ルブルムが厄介とされる理由は再発しやすいことであり、水虫が完治しにくいというイメージを抱く要因となっています。

トリコフィトン・ルブルムと並んで足白癬の原因となりやすいのが、トリコフィトン・メンタグロフィテスです。毛瘡白癬菌という別名称を持ち、主に小水疱型の足白癬を引き起こします。若年齢層に多く発症する傾向にあり、皮膚よりも爪によく症状が発生しやすいのが特徴です。

この2種に加えて近年感染例が増え出したのが、新型水虫の菌種であるトリコフィトン・トンスランスと呼ばれる菌です。主に頭部白癬や体部白癬など、手足以外の場所において発症する傾向にあります。トリコフィトン・トンスランスは皮膚と皮膚が接触することで感染するという特徴があり、不特定多数と触れ合う機会が多い柔道やレスリングなど格闘技の競技者を中心に広まり始めました。日本でも2000年頃から感染事例の報告が増えており、格闘技という競技の性質上接触する確率の高い頭部・顔や首など上半身の発症がほとんどです。

新型水虫として注目を浴びている理由として、白癬菌特有である感染しやすさに加えて、症状が目立たないという点が挙げられます。自覚症状がないため感染していることにも気付かず、治療を行わないまま菌を持ち運ぶ保菌者となる可能性が非常に高いです。さらにトリコフィトン・トンスランスの恐ろしさは感染の早さにあり、感染の自覚がない競技者が施設のスタッフや家族などに接触する度に瞬く間に広がっていきます。完治しにくいという特徴も持ち合わせているため、集団感染が引き起こされる例もあり十分な注意が必要です。

ヒトからヒトへと感染する菌の他に、動物が保有する菌からヒトへと感染する場合もあります。動物に寄生する菌の中でも罹患数が高いとされているのが、ミクロスポルム・カニスと呼ばれる菌です。主に犬や猫から感染することが多く、イヌ小胞子菌とも呼ばれています。